明日に向って撃て!

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男2人は逃げ切れたのか?

明日に向って撃て!(1969年 ジョージ・ロイ・ヒル監督)

映画好きの人と西部劇について語ると、あることに気づく。「シェーン」や「駅馬車」「OK牧場の決闘」など大昔の“西部人情劇”はよく覚えているが、ニューシネマ以降では「明日に向って撃て!」しか印象に残っていない人が多いのだ。ほかに覚えているのはマカロニウエスタンくらい。西部劇ファンによると、米国の製作本数が
減っているからだという。
19世紀の米国、西部史に名高い2人組の強盗、ブッチ(ポール・ニューマン)とサンダンス(ロバート・レッドフォード)の物語。列車強盗、銀行強盗を繰り返した末、南米ボリビアを目指す逃避行である。まず6人の追跡者が執拗に追いかけてくる場面がいい。広大な砂漠を豆粒ほどの6騎が轟音と土煙を上げて疾駆する絵柄は、劇場の大画面を計算した構図。しかも6人の顔が見えない。心憎い演出だ。

ラストは映画史に残る。弾薬を取るために走るブッチと、彼を援護するサンダンス。弾薬は入手したが、すでに2人とも手傷を負っている。しかも大砲まで用意した軍隊に取り囲まれている。まさに絶体絶命。それでも「次はオーストラリアに行こう」と言って、2人は屋外に飛び出す。そこでストップモーション。そして銃声。逃げ切れたのかどうか……。
本作が撮られた当時、ラストに余韻を残す作品が少なくなかった。銃撃されたバイクが宙を舞う「イージー・ライダー」(69年)、1発の銃声で終わる「フレンチ・コネクション」(71年)、宿敵と手で合図を交わす「大いなる勇者」(72年)など。劇画「あしたのジョー」(73年終了)は世界戦を戦い抜いたジョーが死んだの
か分からないまま終わった。
今のハリウッドは結末を2パターン作り、試写会でのモニターで観客の反応を見て決める。ほとんどの作品で分かりやすい結末が採用されるという。本作がリメークされたら、ブッチとサンダンスは血まみれにされるかもしれない。いやだいやだ。
(森田健司)

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