ミステリー 「黒の試走車」 今見てもドキドキする61年前の自動車業界 産業スパイの攻防戦 「黒の試走車」(1962年 増村保造監督) まず断っておくが、この映画は今から61年前、1962年の作品だ。大昔の映画である。 そのころ日本の自動車産業はライバル社の新車情報をめぐってスパイ戦を繰り広げていた。映画を盛り上げるためのつくり話ではない。実際のビジネスの現場でも生臭い競争が繰り広げられ、作家の梶山俊之はそこ... 2023年2月6日
アクション 「レオン」 荒唐無稽でオーバーな演出が許される勧善懲悪の殺し屋活劇 レオン(1994年 リュック・ベッソン監督) ナタリー・ポートマンを世に出した傑作。本作出演のころはまだ13歳だった。このDVDのパッケージ写真、なかなか決まっている。 主人公はニューヨークの片隅で生きるイタリア移民の殺し屋レオン(ジャン・レノ)。ある日、同じアパートのマチルダ(ポートマン)の家族が惨殺される。麻薬取締... 2023年1月26日
バイオレンス 「ディナーラッシュ」 ギャングが暗躍するイタメシ屋のエゴと血の香り ディナーラッシュ(2000年 ボブ・ジラルディ監督) アマゾンプライムをしばらく見ないうちに、この「ディナーラッシュ」が無料見放題になっていた。これはラッキーとばかり、さっそく鑑賞。 やはり面白い。2000年の公開時と同じ満足感、というより細部をしっかり観察できたので、以前より引き込まれた。 物語の舞台はニューヨークの... 2023年1月25日
コメディ 「Shall we Dance?」 日本版と違うスッキリ感動の夫婦愛に脱帽 Shall We Dance?(2004年 ピーター・チェルソム監督) 日本でヒットした周防正行監督の「Shall we ダンス?」(1996年)を米国ハリウッドがリメイクした作品。筆者は周防版の結末に違和感を覚えたが、この米国版を見終えて胸がすっきりした。 日本版のエッセンスをなぞっているので、ストーリーは詳しく説明... 2023年1月20日
ドラマ 「グリーンブック」 粗暴な白人と教養豊かな黒人に降りかかる「差別」と「偏見」の旅 粗暴な白人と教養豊かな黒人に降りかかる「差別」と「偏見」の旅 「グリーンブック」(2018年 ピーター・ファレリー監督) 先日、知人から電話がかかってきて「テレビで『グリーンブック』を見た。あの黒人ピアニストを演じた役者のテクはすごい。本物のピアニストなの?」と聞かれた。そこでこの作品を見返した。本作は実在の人物による... 2022年8月12日
コメディ 「教祖誕生」 統一教会を彷彿とさせる「銭ゲバ」新興宗教の胡散臭さ 統一教会を彷彿とさせる「銭ゲバ」新興宗教の胡散臭さ 教祖誕生(1993年 天間敏宏監督) 統一教会問題で世間が騒がしい。自民党を中心とした保守政治家たちが教団に取り込まれ、同じ政治思想で動いていたというのがこの問題の特質だ。教団は政治家を抱き込むために選挙のときなどに必死の協力をしたという。カルト宗教のしたたかさを思い... 2022年8月10日
時代劇 「地獄門」 艶やかな平安絵巻で観客を魅了する京マチ子の悲しき献身愛 艶やかな平安絵巻で観客を魅了する京マチ子の悲しき献身愛 地獄門(1953年 衣笠貞之助監督) 京マチ子が95歳で亡くなって2年になる。CS放送で昔の映画を見ていると、京マチ子の姿を目にすることもたびたび。思えば、どんな役もこなせる大女優だった。「鍵」(59年)では白い柔肌を、「他人の顔」(66年)では乳首を披露。表現者... 2021年11月26日
パニック 「ジョーズ」 人食いザメ対3人の男たち、命がけの戦い 人食いザメ対3人の男たち、命がけの戦い ジョーズ(1975年 スティーブン・スピルバーグ監督) スピルバーグ監督の名を世界に知らしめたヒット作。本作を契機に「グリズリー」(76年)や「テンタクルズ」(77年)、「オルカ」(77年)などの動物パニック映画が量産された。筆者は本作を見てサメが怖くなり、10年間、海水浴に行か... 2021年11月25日
バイオレンス 「Mr.ノーバディ」 さえないオッサンが豹変し、ロシアンマフィア相手に大暴れ! さえないオッサンが豹変し、ロシアンマフィア相手に大暴れ! Mr.ノーバディ (2021年 イリヤ・ナイシュラー監督) 筆者が子供のころテレビで「悟空の大冒険」(手塚治虫原作)というアニメが放映され、主題歌の歌詞に「暴れ出したら止まらない」という一節があった。本作を見ながら、この歌詞を思い出した。悟空は若々しいが、本作の... 2021年11月17日
パニック 「激突!」 戦車なみの大型トレーラーにつきまとわれ、砂漠を逃げ回る恐怖のドライブ 戦車なみの大型トレーラーにつきまとわれ、砂漠を逃げ回る恐怖のドライブ 激突!(1971年 スティーブン・スピルバーグ監督) 日本での初放送は1975年1月、「日曜洋画劇場」でだった。当時、筆者はまだ運転免許を持っておらず、「クルマを運転するのはこんなに怖いことなのか~。くわばらくわばら」と体が震えた。あれから40年以上... 2021年11月16日