「ブルーイグアナ  500万ポンドの獲物」 英国人は楽しめる? 上滑りのアクション映画

ブルーイグアナ 500万ポンドの獲物 (2018年 ハディ・ハジェイグ監督)

英国映画である。
泥棒のエディ(サム・ロックウェル)とポール(ベン・シュワルツ)は仮釈放された後、今はニューヨークにあるレストランで働いている。ある日、2人はイギリス人の弁護士キャサリン(フィービー・フォックス)から仕事の依頼を受ける。依頼内容は英国ロンドンで、違法取引で輸送中のある品物を奪い取って欲しいというもの。2人は難色を示すが、キャサリンから余罪をばらすと脅され、仕方なくロンドンに向かう。
博物館での品物の強奪は妨害を受けながらもなんとか成功した。だが品物が入ったリュックをキャサリンに手渡す際に、仕事を依頼した大物ギャングのアルカディの手下から襲撃される。これを撃退するも、リュックはキャサリンに奪われていた。
キャサリンはアルカディにリュックを届け、その際、エディらの命乞いをする。そのためアルカディに借りていた借金を帳消しをしてもらう話はオジャンに。そこで一転、エディらと組むことになる。エディたちに「アルカディが500万ポンドの値がつくダイヤモンド『ブルーイグアナ』の強奪を目論んでいる」との情報を伝え、盗人の上前をはねようと計画するのだった。
なんというか、実にユルい映画だ。サムロックウェル主演というから、少しは期待して見てみたが、見ていてダレる。
出だしは悪くない。保釈中の泥棒がブツの強奪を頼まれ、頼んだ女はいつも何かを食べている奇妙な女弁護士。博物館での強奪で拳銃を突きつけて脅したはいいが、通りがかりの若者に奪われ、追跡中に若者は墜落死。やっと取り戻したカバンを弁護士に渡そうとしたら、ワルの親玉の手下が横取りを狙って格闘に。エディと相棒が泥棒のくせにやたらと武闘アクションが決まっているという意外性や、女弁護士が親玉と面会するくだりまではワクワクさせられる。
だがそこから先がいけない。いかにも英国風のユーモアを意識した展開だ。サイケデリックな熟女とさえない東洋人の小男が出てきて、不意に現れた爺さんたちが脚本を読み、ダイヤモンド強奪を思いつき……と書けば少しは面白そうに思われるかもしれないが、緊迫感がない。ギャグもバナナの皮を踏んだように大いにすべっている。笑わせようとしてるのか、手に汗を握らせようといてるのか、見ているこちらはチンプンカン。最後のゾンビを使った逃走劇に至っては「そんなもんですかぁ?」とクレーマーになりたくなる。こんなの素人のオラだって考えつくぞ。
まあ、銃撃戦はそれなりに迫力があった。ブスっぽい顔立ちの女弁護士が眼鏡を外すと見とれるような美女に変身というのも、ありきたりだが夢がある。
だけどやはり「そんなもんですかぁ?」と言いたくなる。この映画のこの感覚、英国人の心の琴線に触れるかもしれないが、おっさん世代の日本人のおいらは理解不能・思考停止・睡眠願望なのだよ。ほなサイナラ!

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