ゲッタウェイ

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マックイーンは人殺しの経験者か?

ゲッタウェイ(1972年 サム・ペキンパー監督)

1973年の日本公開時、映画評論家の淀川長治はスティーブ・マックイーンとアリ・マッグローのキスシーンを「この2人、撮影のときにデキてたんですね。だからこの接吻、本物ですよ。まあ、ヤラしいですねぇ」と解説していた。2人はダブル不倫で、それぞれの配偶者と離婚して73年に結婚した。
刑務所に服役中のマッコイ(マックイーン)は権力者のベニヨン(ベン・ジョンソン)の裏工作で釈放され、銀行強盗を命じられる。マッコイは妻キャロル(マッグロー)とギャングのルディらとともに現金50万ドルを強奪するが裏切りに遭い、妻を連れて逃避行。暴力描写の神様ペキンパー監督の代表作だ。
本作の魅力はマッコイが使うショットガンだ。「ダブルオーバック弾」という威力抜群の弾を使うためパトカーは数発で炎上。人間なんかひとたまりもない。ホテルでの銃撃戦でキャロルは小型拳銃で敵を撃つが、なかなか死なない。そこにマッコイが駆けつけ、ショットガンで即死させる。ペキンパーは「わらの犬」(71年、ダスティン・ホフマン、スーザン・ジョージ)でも妻を守る男を描いたが、本作も同じ。ショットガンが黒光りの男根に見えてくる。
不倫話のほかにも伝説が生まれた。結末はマッコイ夫婦が国境を抜け、ゴミ回収のトラックを買い取るハッピーエンドだが、実は2人が射殺される版も撮られたという。米国では悪人が逃げきるのは倫理上問題があるとされたからだ。
もうひとつは気絶したルディをマッコイが至近距離から銃で狙う場面。左手を銃に添えて自分をかばうようなしぐさを見せる。銃器の専門家トビー門口によれば、これは相手の頭部に弾丸を打ち込んだ際、脳みそが自分の顔にかかるのを防ぐためで、「(マックイーンは)海兵隊に入って戦争に行って人を殺しているだけあって、うまいですよ」と語っている(「映画とは何か」草思社)。ただしマックイーンは海兵隊の訓練を受けたが、戦地に行かなかったとの説もある。

ちなみにマックイーンとマッグローは78年に離婚した。

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