ソルジャーブルー

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アメリカ史の暗部を抉り出した問題作

ソルジャーブルー(1970年 ラルフ・ネルソン監督)

南北戦争末期の1864年、米コロラド州サンドクリークで起きた先住民虐殺事件をモデルにした作品。騎兵隊が女子供を虐殺するシーンが世界に衝撃を与えた。
主人公はクレスタ(キャンディス・バーゲン)という花嫁。北軍騎兵隊の馬車で結婚式に送り届けられる道中、現金を狙った先住民の奇襲で隊は全滅。生き残った新兵
ガント(P・ストラウス)とともにクレスタは騎兵隊の基地を目指す。
前半は男女2人の珍道中。後半は凄惨な殺戮になる。クレスタはシャイアン族の酋長に騎兵隊が攻撃することを知らせるが、酋長は「白人は平和を約束してくれた」と騎兵隊を信じようとする。だが騎兵隊は彼らを攻撃。女を全裸にして強姦し、抵抗する女の乳房をナイフで切って楽しむ。くぼ地に隠れた子供たちはすべて射殺。彼らの首や手足を切り取り、おもちゃのように振り回して踊り狂うなど、胸が悪くなるシーンが続出。動画サイトには当時の予告編があり、赤ん坊を抱えた女が首を切り落とされたりと実にむごたらしい。本編のナレーションは「サンドクリーク事件で騎兵隊は500人を虐殺。その半分以上が女子供だった」と説明している。
猿谷要(東京女子大名誉教授)は著書にこう記している。
「私たちは長い間、先住民は白人の西部開拓を妨害する野蛮な未開人というイメージを、ハリウッド映画を通じて与えられてきた。その映画が劇的な変化をみせるようになるのは、一九七〇年の『ソルジャー・ブルー』からである」
先住民こそ被害者なのだ。
本作の2年前、ソンミ村虐殺事件が起きた。カリー中尉率いる小隊が南ベトナムのソンミ村を襲撃して無抵抗の村民504人を殺害。犠牲者のうち183人は女性、173人は子供だった。R・ネルソン監督はこの事件を受けて本作を撮った。開拓時代の虐殺を通じてベトナム戦争の蛮行を批判したのだ。問題作なのに、近年話題にならないのが残念。筆者はツタヤ渋谷店で借りて観賞した。

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