「黒の試走車」(1962年 増村保造監督) まず断っておくが、この映画は今から61年前、1962年の作品だ。大昔の映画である。 そのころ日本の自動車産業はライバル社の新車情報をめぐってスパイ戦を繰り広げていた。映画を盛り上げるためのつくり話ではない。実際のビジネスの現場でも生臭い競争が繰り広げられ、作家の梶山俊之はそこ...
モリケンの★5映画
レオン(1994年 リュック・ベッソン監督) ナタリー・ポートマンを世に出した傑作。本作出演のころはまだ13歳だった。このDVDのパッケージ写真、なかなか決まっている。 主人公はニューヨークの片隅で生きるイタリア移民の殺し屋レオン(ジャン・レノ)。ある日、同じアパートのマチルダ(ポートマン)の家族が惨殺される。麻薬取締...
ディナーラッシュ(2000年 ボブ・ジラルディ監督) アマゾンプライムをしばらく見ないうちに、この「ディナーラッシュ」が無料見放題になっていた。これはラッキーとばかり、さっそく鑑賞。 やはり面白い。2000年の公開時と同じ満足感、というより細部をしっかり観察できたので、以前より引き込まれた。 物語の舞台はニューヨークの...
Shall We Dance?(2004年 ピーター・チェルソム監督) 日本でヒットした周防正行監督の「Shall we ダンス?」(1996年)を米国ハリウッドがリメイクした作品。筆者は周防版の結末に違和感を覚えたが、この米国版を見終えて胸がすっきりした。 日本版のエッセンスをなぞっているので、ストーリーは詳しく説明...
シュワちゃん型キラーロボットが人間を殺す日 ターミネーター(1984年 ジェームズ・キャメロン監督) ご存じ、アーノルド・シュワルツェネッガーとジェームズ・キャメロン監督の出世作。 2029年、地球では人類VSロボットの戦争が繰り広げられていた。ロボット軍団を追い詰めた指導者の誕生を阻むため、1984年の現代にアンドロ...
金持ちが貧乏人の命でルシアンルーレットの博打を楽しむ 13/ザメッティ(2005年 ゲラ・バブルアニ監督) 拳銃の弾倉に弾を1発込め、こめかみに向けて引き金を引く――。映画「ディア・ハンター」で知れ渡ったロシアンルーレットを題材にした映画。フランスとグルジアの合作だ。 セバスチャン(ギオルギ・バブルアニ)はグルジア移民...
娘を凌辱・殺害されたキリスト者、報復の苦しみ 「処女の泉」 (1960年 イングマール・ベルイマン監督) 映画「わが母の記」(2012年)で役所広司扮する作家の井上靖が「映画『処女の泉』を見た」と言う娘に対して、「ピンク映画などを見に行きおって!」と一喝するシーンがある。「処女の泉」を愛する観客はさぞかし笑ったことだろ...
人間の対比がもたらす「希望」の物語 「ショーシャンクの空に」(1994年 フランク・ダラボン監督) 刑務所が舞台の映画ではジャック・ベッケル監督の「穴」やクリント・イーストウッド主演の「アルカトラズからの脱出」などが有名だ。両作品は物語の中心が脱獄だった。これに対して「ショーシャンクの空に」は獄中の人間模様に重点を置い...
大統領のご寵愛を求める男たち、憎悪と嫉妬の滑稽劇 「KCIA 南山の部長たち」(2020年 ウ・ミンホ監督) 1979年10月26日、韓国の朴正熙(パク・チョンヒ)大統領が暗殺された。当時筆者は大学生で、ついに死んだかと思った。射殺とはいかにも独裁者の末路らしいと。米国のCIAが暗殺を画策したという説も出たが、いまだに...
粗暴な白人と教養豊かな黒人に降りかかる「差別」と「偏見」の旅 「グリーンブック」(2018年 ピーター・ファレリー監督) 先日、知人から電話がかかってきて「テレビで『グリーンブック』を見た。あの黒人ピアニストを演じた役者のテクはすごい。本物のピアニストなの?」と聞かれた。そこでこの作品を見返した。本作は実在の人物による...
佳作・駄作1日1本