時代劇 「手討」 皿屋敷の怪談と武家社会の不条理から見る女の不遇の時代 皿屋敷の怪談と武家社会の不条理から見る女の不遇の時代 手討(1963年 田中徳三監督) 夏の風物詩ともいえる怪談話。日本人に一番なじみが深いのは「四谷怪談」だろう。次によく知られているのは歌舞伎や講談で演じられた怪談「皿屋敷」ではないだろうか。本作は岡本綺堂が「番町皿屋敷」として小説化した作品を、脚本家の八尋不二が脚色... 2021年11月8日
コメディ 「スウィングガールズ」 ダメ女子高生とメッキの教師が巻き起こすビッグバンドの興奮 ダメ女子高生とメッキの教師が巻き起こすビッグバンドの興奮 スウィングガールズ(2004年 矢口史靖監督) 筆者が初めてジャズのレコードを買ったのは高2のとき。田舎町のレコード店でコルトレーンの「至上の愛(A Love Supreme)」(1965年)を求めた。コルトレーンの横顔をあしらった白黒のジャケットが気に入った... 2021年10月30日
ミステリー 「太陽がいっぱい」 あのショーンK騒動を思い出す米国青年のコンプレックスと成りすましテク あのショーンK騒動を思い出す米国青年のコンプレックスと成りすましテク 太陽がいっぱい(1960年 ルネ・クレマン監督) 米国の女流作家パトリシア・ハイスミスの小説をルネ・クレマン監督が脚本化した。モーリス・ロネとアラン・ドロンが出たフランス映画であるため、主人公ら男2人をフランス人の設定と勘違いしている人もいるが、実は... 2021年10月29日
社会派 「カサブランカ」 男と女の悲恋に秘められた米国の戦意高揚の意図を見抜け 男と女の悲恋に秘められた米国の戦意高揚の意図を見抜け カサブランカ(1942年 マイケル・カーティス監督) 原題は「Casablanca」。フランス領モロッコの町カサブランカを舞台にした物語だが、スペイン語でcasaは「家」、blancaは「白」の意味で直訳は「白い家」。英訳すると「ホワイトハウス」を表している。政治性... 2021年8月4日
社会派 「ベスト・オブ・エネミーズ -価値ある闘い-」 バッハに国民を売った菅首相に見せたい50年前の黒人差別の真実 バッハに国民を売った菅首相に見せたい50年前の黒人差別の真実 ベスト・オブ・エネミーズ -価値ある闘い-(2019年 ロビン・ビセル監督) ついにと言うべきか、とうとうと言うべきか。東京五輪が始まった。もう後戻りはできない。国民の多くが開催に反対あるいは延期すべきだと主張しているのに、菅政権は五輪のごり押しにノーと言... 2021年7月25日
ドラマ 「死刑台のエレベーター」 密室とパリの夜景 殺人事件を舞台にした悲しき女の情念 密室とパリの夜景 殺人事件を舞台にした悲しき女の情念 死刑台のエレベーター(1958年 ルイ・マル監督) ルイ・マルが25歳で撮った初監督作品。若くして世界に才能を見せつけた。 公開時、スクリーンに登場する小物が注目された。日付を印字した紙がめくられる卓上カレンダー、電動鉛筆削り、ガスライター、超小型カメラなどはまだ珍... 2021年6月24日
ドラマ 「ディア・ドクター」 本物になれなかった男の悲哀 ラストシーンで笑いながら涙が… 本物になれなかった男の悲哀 ラストシーンで笑いながら涙が… ディア・ドクター(2009年 西川美和監督) 何度見返しても面白い作品だ。 舞台は人口1000人余りの山間部の村。ここに村営診療所に勤め、村人全員から慕われる医師が働ている。笑福亭鶴瓶が演じる伊野治という男で、村長の誘いを受け、長らく医者がいなかったこの村に赴... 2021年6月21日
社会派 「ジョーカー」 ビジネスマンに放った8発の銃弾が暗示する虚構の世界 ビジネスマンを殺害した8発の銃弾が暗示する虚構の世界 ジョーカー(2019年 トッド・フィリップス監督) 10年ほど前、外資系銀行に勤めている人からこんな話を聞いた。 「現在の米国は貧富の差が広がるばかりだが、今から60年ほど前はこれほどひどくなかった。もちろん大富豪はいたが、国民の大部分は中産階級と言ってもいい状況だ... 2021年6月19日
青春 「ミリオンダラー・ベイビー」 スポーツ界の卑劣な一撃 スポーツ界の卑劣な一撃 ミリオンダラー・ベイビー(2004年 クリント・イーストウッド監督) アカデミー賞の作品賞と監督賞など4部門で受賞した。 ロスでボクシングジムを赤字経営するフランキー(クリント・イーストウッド)とスクラップ(モーガン・フリーマン)の前にボクサー志望のマギー(ヒラリー・スワンク)が現れる。食堂の食... 2021年6月5日
社会派 「セルピコ」 腐敗警官に1人で立ち向かう 腐敗警官に1人で立ち向かう セルピコ (1973年 シドニー・ルメット監督) 「十二人の怒れる男」「未知への飛行」などの社会派監督、シドニー・ルメットがメガホンを取った問題作。 ニューヨーク市警の刑事セルピコ(アル・パチーノ)が捜査中に顔を銃撃され、病院に担ぎ込まれた。実はセルピコは市警の腐敗ぶりを告発し、同僚刑事たち... 2021年6月5日