貧乏人が貧乏人を蹴落として生き残ろうとする現代の不条理 パラサイト 半地下の家族(2019年 ポン・ジュノ監督) 一昨日、韓国ソウルが集中豪雨に見舞われ、半地下の住居が浸水して3人の犠牲者が出たというニュース映像を見た。この映画「パラサイト 半地下の家族」と同じ光景に、現実のほうがずっと悲惨なのだと痛感させられた。かの...
モリケンの★5映画
統一教会を彷彿とさせる「銭ゲバ」新興宗教の胡散臭さ 教祖誕生(1993年 天間敏宏監督) 統一教会問題で世間が騒がしい。自民党を中心とした保守政治家たちが教団に取り込まれ、同じ政治思想で動いていたというのがこの問題の特質だ。教団は政治家を抱き込むために選挙のときなどに必死の協力をしたという。カルト宗教のしたたかさを思い...
新進脚本家が遭遇した不穏な時代の殺人事件 バートン・フィンク (1991年 ジョエル・コーエン監督) コーエン兄弟の作品。監督はジョエル・コーエン、製作は弟のイーサン・コーエンが担当した。1991年度のカンヌ国際映画祭でパルム・ドール、監督賞、男優賞を受賞している。 1941年の米国。ニューヨークで成功した新進の劇作家...
信長を殺したが、新たに出現した秀吉というヒトラーが民衆を虐殺 忍びの者(1962年 山本薩夫監督) 昔の玩具店にはオモチャの刀や黒頭巾が売られていて、子供たちは「えい」「やあっ!」と忍者ごっこに興じたものだ。テレビでは「隠密剣士」「風のフジ丸」「仮面の忍者赤影」「カムイ外伝」などが放映されていた。戦前から続く忍者ブーム...
艶やかな平安絵巻で観客を魅了する京マチ子の悲しき献身愛 地獄門(1953年 衣笠貞之助監督) 京マチ子が95歳で亡くなって2年になる。CS放送で昔の映画を見ていると、京マチ子の姿を目にすることもたびたび。思えば、どんな役もこなせる大女優だった。「鍵」(59年)では白い柔肌を、「他人の顔」(66年)では乳首を披露。表現者...
人食いザメ対3人の男たち、命がけの戦い ジョーズ(1975年 スティーブン・スピルバーグ監督) スピルバーグ監督の名を世界に知らしめたヒット作。本作を契機に「グリズリー」(76年)や「テンタクルズ」(77年)、「オルカ」(77年)などの動物パニック映画が量産された。筆者は本作を見てサメが怖くなり、10年間、海水浴に行か...
薄幸な女の悲劇はシャロン・テート事件の投影か? チャイナタウン(74年 ロマン・ポランスキー監督) 公開からまもなく50年。何度見てもやるせない気分にさせられる作品だ。脚本を担当したロバート・タウンは本作でアカデミー賞脚本賞を受賞した。 舞台は1930年代のロサンゼルス。ギテス(ジャック・ニコルソン)は主に浮気の調査を...
英国人への拷問によって旧日本軍を冒涜した"反日"映画なのか? レイルウェイ 運命の旅路 (2013年 ジョナサン・テプリツキー監督) 第2次大戦中、日本軍の捕虜になった英国人の苦悩を描く。主人公のエリック・ローマクスの実体験を映画化した。 戦争終結から35年後の1980年、退役軍人のローマクス(コリン・ファース)は看護...
リーマンショックの痛手を「昏睡バー」で巻き返すストリッパーの復讐劇 ハスラーズ(2019年 ローリーン・スカファリア監督) 女がスケベな男どもからカネを騙し取るストーリーと聞くと、男は総じて難色を示してパスするだろう。だが、ちょっと待ってほしい。この作品は一種の経済物語。事実を基に創作している。 舞台はリーマンショック...
さえないオッサンが豹変し、ロシアンマフィア相手に大暴れ! Mr.ノーバディ (2021年 イリヤ・ナイシュラー監督) 筆者が子供のころテレビで「悟空の大冒険」(手塚治虫原作)というアニメが放映され、主題歌の歌詞に「暴れ出したら止まらない」という一節があった。本作を見ながら、この歌詞を思い出した。悟空は若々しいが、本作の...
佳作・駄作1日1本