戦車なみの大型トレーラーにつきまとわれ、砂漠を逃げ回る恐怖のドライブ 激突!(1971年 スティーブン・スピルバーグ監督) 日本での初放送は1975年1月、「日曜洋画劇場」でだった。当時、筆者はまだ運転免許を持っておらず、「クルマを運転するのはこんなに怖いことなのか~。くわばらくわばら」と体が震えた。あれから40年以上...
モリケンの★5映画
改造ライフルの試射、アルファロメオの爆音。大藪春彦ファンが泣いて喜ぶドゴール暗殺計画 ジャッカルの日 (1973年 フレッド・ジンネマン監督) 50年近く前の映画だから映像が少々古臭い。だが無駄なセリフや説明を省略しているため、長い物語がテンポよく進んでいく。ドゴール大統領暗殺計画を描いているが、フレデリック・フォーサ...
黒覆面の男にレイプされた中年女性が味わう快楽の化学変化 エル ELLE (2016年 ポール・バーホーベン監督) 本作の予告編を見たとき、ストーカー映画だと思った。中年女性が暴行されたあげく、犯人から嫌がらせを受ける物語なのだと。ところが実際に見てみると全然違う。描かれているのは女の情念といえるだろう。監督は「氷の微笑...
重役に"ヤリ部屋"を提供する平社員の恋の行方は? アパートの鍵貸します (1960年 ビリー・ワイルダー監督) 上司や重役を利用してとんとん拍子に出世する映画といえば、日本では1960年代にヒットした植木等の「日本一」シリーズが有名だ。口八丁手八丁でお偉いさんに取り入り、ときに自分の生き方を貫いて戦線を離脱しながら、こ...
皿屋敷の怪談と武家社会の不条理から見る女の不遇の時代 手討(1963年 田中徳三監督) 夏の風物詩ともいえる怪談話。日本人に一番なじみが深いのは「四谷怪談」だろう。次によく知られているのは歌舞伎や講談で演じられた怪談「皿屋敷」ではないだろうか。本作は岡本綺堂が「番町皿屋敷」として小説化した作品を、脚本家の八尋不二が脚色...
人気DJをじわじわと苦しめるストーカー女の狂暴化 恐怖のメロディ (1971年 クリント・イーストウッド監督) 軽い気持ちで女性とエッチしたら泥沼にはまりこんだ――。こんな映画はいくつかある。有名な作品としては87年の「危険な情事」。本作はその16年前に製作された。クリント・イーストウッドの初監督作品だ。 この時代、洋...
美女焼殺 学生運動の時代に平安貴族の残酷趣味を描く 地獄変 (1969年 豊田四郎監督) 芥川龍之介の名作を「文芸映画の巨匠」と呼ばれる豊田四郎が監督。1960年代後半の世相が反映された脚本だ。芥川也寸志(龍之介の三男)の主題曲も重厚で聞きごたえがある。 藤原家が権勢を誇った平安時代。天才絵師の良秀(仲代達矢)は権力...
少女はなぜ見知らぬ男たちに体を売るのか? 17歳(2013年 フランソワ・オゾン監督) 数年前、AV関係者から「いまや若い女性の3割はAV出演の経験者」と言われた。プロのAV女優のほか、アルバイターを含めると相当な数になり、3割もありえるという。地方もののAVでは塾の講師をしている女性などが好奇心とカネ欲しさで気軽に出...
ダメ女子高生とメッキの教師が巻き起こすビッグバンドの興奮 スウィングガールズ(2004年 矢口史靖監督) 筆者が初めてジャズのレコードを買ったのは高2のとき。田舎町のレコード店でコルトレーンの「至上の愛(A Love Supreme)」(1965年)を求めた。コルトレーンの横顔をあしらった白黒のジャケットが気に入った...
あのショーンK騒動を思い出す米国青年のコンプレックスと成りすましテク 太陽がいっぱい(1960年 ルネ・クレマン監督) 米国の女流作家パトリシア・ハイスミスの小説をルネ・クレマン監督が脚本化した。モーリス・ロネとアラン・ドロンが出たフランス映画であるため、主人公ら男2人をフランス人の設定と勘違いしている人もいるが、実は...
佳作・駄作1日1本