母は発狂、自身は国外追放 世界を笑わせた喜劇王につきまとう悲劇 チャーリー(1992年 リチャード・アッテンボロー監督) 相変わらずコロナ禍が続いている。飲食業界をはじめ、経済界に与えた損失の大きさは計り知れない。先日、銀座の割烹料理屋を廃業するという経営者と話していたら、「やはり昨年、志村けんが死亡したのが大きかった...
モリケンの★5映画
若尾文子と田村二郎にみる男女の業 女が愛して憎むとき(1963年 富本壮吉監督) 「女が階段を上る時」(60年、成瀬巳喜男監督)で銀座の女を描いた脚本家の菊島隆三が舞台を大阪に移した作品。 北新地でバーを営む敏子(若尾文子)は美人ママとして評判を呼び、客は敏子に男がいるのではと興味津々だ。敏子は男の影がない女として通...
戦国時代と被るマフィア抗争 ゴッドファーザー PARTⅡ(1974年 フランシス・フォード・コッポラ監督) 「ゴッドファーザー」(1972年)の続編でロバート・デ・ニーロの出世作。「PARTⅡ」という言葉は本作から広まった。続編も高評価を受けた映画はこれが初めてといっていい。 前作で父ビトー・コルレオーネ(マーロン・ブ...
密閉空間で襲いかかる最強のモンスター エイリアン(1979年 リドリー・スコット監督) 早いもので公開から40年が経過した。誰もが一度は見たことがあるだろう。 西暦2122年、宇宙貨物船が知的生命体からの信号を感知して3人のクルーが未知の惑星を調査、宇宙人の化石を発見する。生命体の卵を調べていたケイン(ジョン・ハ...
陸軍に学んだ山口組の侵略戦争 実録外伝 大阪電撃作戦(1976年 中島貞夫監督) 1960年に大阪で起きた明友会事件を映画化。タイトルの「電撃作戦」は山口組がわずか2週間で明友会を壊滅させたことを意味する。 ヤクザ組織が群立する大阪に1000人の勢力を自称する愚連隊組織の双竜会があった。幹部の安田(松方弘樹)は南原組の...
飲み会で「ファック・ミー!」と叫んだあの時代 エクソシスト(1973年 ウィリアム・フリードキン監督) 1970年代はある映画がヒットすると同じジャンルの作品が次々と生み出される時代だった。本作は「オーメン」(76年)や「サスペリア」(77年)の先駆けといえる。 イラクで遺跡を発掘しているメリン神父(マックス・フォ...
日本の中高生をノックアウトした美しきメロディちゃんの衝撃 小さな恋のメロディ(1971年 ワリス・フセイン監督) 60歳前後の人はこのタイトルを聞いただけで頭の中に“Who is the girl with the crying face looking at millions of signs?”とビージーズの主題曲...
脳を侵食する理解不可能の不条理劇 ストーカー(1979年 アンドレイ・タルコフスキー監督) ストーカーといっても女につきまとうイカレ野郎ではない。この映画では案内人のことだ。筆者は大学生のころ、ゼミの先輩に本作の話を聞いて無性に見たくなり、劇場に足を向けた。先輩の「難しい映画だぞ」という忠告どおり、理解不可能だった。だ...
中国を舞台にベトナム戦争を痛烈批判 砲艦サンパブロ(66年 ロバート・ワイズ監督) 1926年の中国。揚子江に停泊中のサンパブロ号と、同艦に立ちはだかる中国独立運動を描く。 スティーブ・マックイーンが演じる新任機関兵のホルマンは、上海で宣教師のシャーリー(キャンディス・バーゲン)と知り合う。彼の親友フレンチー(リチャー...
男2人は逃げ切れたのか? 明日に向って撃て!(1969年 ジョージ・ロイ・ヒル監督) 映画好きの人と西部劇について語ると、あることに気づく。「シェーン」や「駅馬車」「OK牧場の決闘」など大昔の“西部人情劇”はよく覚えているが、ニューシネマ以降では「明日に向って撃て!」しか印象に残っていない人が多いのだ。ほかに覚えている...
佳作・駄作1日1本