男と女が節操なく欲望を満たしていた時代 祭りの準備 (1975年 黒木和雄監督) 筆者は1980年ごろ、この作品を二子玉川駅近くの名画座「二子東急」で見た。 目的は当時人気絶頂だった竹下景子のヌードだったが、作品の完成度の高さにうならされた。もちろん竹下の胸もきれいだった。 舞台は1950年代の高知県の漁村。主人公は信...
モリケンの★5映画
原作にない「愛」をめぐるナゾ 上意討ち 拝領妻始末(1967年 小林正樹監督) 映画「切腹」の原作「異聞浪人記」を執筆した作家、滝口康彦による短編時代小説「拝領妻始末」の映画化。ベネチア国際映画祭批評家連盟賞などに輝いた。 会津藩馬廻り役の笹原伊三郎(三船敏郎)は、藩主松平正容の側室お市の方(司葉子)を長男与五郎(加藤...
アメリカ史の暗部を抉り出した問題作 ソルジャーブルー(1970年 ラルフ・ネルソン監督) 南北戦争末期の1864年、米コロラド州サンドクリークで起きた先住民虐殺事件をモデルにした作品。騎兵隊が女子供を虐殺するシーンが世界に衝撃を与えた。 主人公はクレスタ(キャンディス・バーゲン)という花嫁。北軍騎兵隊の馬車で結婚式に送...
マックイーンは人殺しの経験者か? ゲッタウェイ(1972年 サム・ペキンパー監督) 1973年の日本公開時、映画評論家の淀川長治はスティーブ・マックイーンとアリ・マッグローのキスシーンを「この2人、撮影のときにデキてたんですね。だからこの接吻、本物ですよ。まあ、ヤラしいですねぇ」と解説していた。2人はダブル不倫で、それ...
殺意の真因は上流社会への憧れ 陽のあたる場所(1951年 ジョージ・スティーブンス監督) 原作は1925年に発表されたセオドア・ドライサーの小説「An American Tragedy」(邦題「アメリカの悲劇」)。映画は「A Place in the Sun」となった。 母子家庭で育った貧しい青年ジョージ(モンゴメリー...
ドサ役者をめぐる憎しみと愛 浮草(1959年 小津安二郎監督) タイトルが似ているので成瀬巳喜男監督の「浮雲」と混同されがちだ。あちらは白黒映画、本作はカラー。ストーリーも全然違う。 志摩半島の漁村でドサ回りの大衆演劇「嵐駒十郎一座」が興行を打つ。実は親方の駒十郎(中村鴈治郎)はこの地のお芳(杉村春子)との間に清(川口...
インテリと極道が軍隊の卑劣漢どもに立ち向かう 兵隊やくざ(1965年 増村保造監督) この10年ほどで日本は大きく変わった。「暴力反対」が叫ばれるようになったのだ。筆者の小学~高校時代は学校で教師が生徒に鉄拳制裁を加えて平然としていた。本来、戦後の日本の教育はかつての精神主義を反省し、平和の尊さを教えることを本義とした...
ニヒルな殺し屋のオモテの顔は…… ある殺し屋(1967年 森一生監督) 市川雷蔵が殺し屋を演じる。 小料理屋を営む塩沢(雷蔵)はケチな美人局(つつもたせ)に因縁をつけられてこれを撃退。「強い男が好き」というズベ公の圭子(野川由美子)は勝手に塩沢の家に居候する。実は塩沢にはもうひとつの顔があった。殺し屋だ。 彼は木村組の...
内紛、暗殺の果てに裏切られ…… 天狗党(1969年 山本薩夫監督) 幕末に暴れ回った水戸天狗党と彼らに関わった男の生きざまを描く。 常陸国の百姓・仙太郎(仲代達矢)は租税の減免を願い出たことで代官の怒りを買い、百叩きの仕置きを受ける。このとき仙太郎は水戸天狗党の加多(加藤剛)に随行していた甚伍左親分から水と銭を与えられ...
コーエン兄弟の摩訶不思議な世界 バートン・フィンク(1991年 ジョエル・コーエン監督) コーエン兄弟の作品。製作は弟のイーサン・コーエンが担当した。 1941年の米国。ニューヨークで成功した新進作家バートン・フィンク(ジョン・タトゥーロ)がハリウッドの映画会社に招聘され、レスリングものの脚本を依頼される。老朽化したホ...
佳作・駄作1日1本