新妻を迎えた男と、女に翻弄された男。若者が陥る愛欲の泥沼 遠雷(1981年 根岸吉太郎監督) ヌードを披露しながら、あまり評価されなかった女優は少なくない。「いちげんさん」(1999年)の鈴木保奈美や「新・雪国」(2002年)の笛木優子、「松ケ根乱射事件」(07年)の川越美和ら。川越はひき逃げ死体としてヘアを披露し、そ...
モリケンの★5映画
戦車好きを興奮させる欧州戦線、シャーマンvsタイガーⅠ型の激突! フューリー (2014年 デビッド・エアー監督) 戦争映画ファンには戦車が出てくると大興奮する人がいる。実は筆者もその一人。小学生のころはひたすら田宮模型(当時)のプラモ作りに励んだ。戦艦大和も零式戦闘機もメッサーシュミットも作ったが、戦車のキャタピラー...
現代人も恐れをなす盲人の畜生道。61年前の日本人はどう見たのか? 不知火檢校(1960年 森一生監督) 「視覚障害者」というとハンディキャップに負けず懸命に生きている人々のイメージが強い。口がきけないのも耳が聞こえないのも大変な苦労だろうが、目が見えないのはそれより数段苦しいものだと思ってしまう。だから我々は街で白い杖...
男と女の悲恋に秘められた米国の戦意高揚の意図を見抜け カサブランカ(1942年 マイケル・カーティス監督) 原題は「Casablanca」。フランス領モロッコの町カサブランカを舞台にした物語だが、スペイン語でcasaは「家」、blancaは「白」の意味で直訳は「白い家」。英訳すると「ホワイトハウス」を表している。政治性...
ジャズを舞台にした過激なパワハラ映画 気の弱い人は閲覧注意! セッション(2014年 デイミアン・チャゼル監督) ジャズのバンド活動におけるアカハラ、パワハラの物語。J・K・シモンズの熱演が怖くて、憎たらしい。気の弱い人は見ないほうがいい。 シェイファー音楽院に通うアンドリュー(マイルズ・テラー)はジャズドラマーを目指...
3人の名匠が描くエドガー・アラン・ポーの世界。筆者はフェリーニ作品の少女が今でも怖い 世にも怪奇な物語(1968年 監督:ロジェ・ヴァディム、ルイ・マル、フェデリコ・フェリーニ) エドガー・アラン・ポーの小説を3人の名匠が映像化したオムニバス作品。ロジェ・ヴァディム監督「黒馬の哭く館」とルイ・マル監督「影を殺した男」は...
バッハに国民を売った菅首相に見せたい50年前の黒人差別の真実 ベスト・オブ・エネミーズ -価値ある闘い-(2019年 ロビン・ビセル監督) ついにと言うべきか、とうとうと言うべきか。東京五輪が始まった。もう後戻りはできない。国民の多くが開催に反対あるいは延期すべきだと主張しているのに、菅政権は五輪のごり押しにノーと言...
ろくでなし人間どものストーリーは尻拭き紙とともにトイレに流せ パルプ・フィクション(1994年、クエンティン・タランティーノ監督) 1994年のカンヌ国際映画祭パルム・ドール、95年の第67回アカデミー賞脚本賞を受賞。映画冒頭の解説によれば「パルプ」とは「質の悪い紙に印刷された扇情的な内容の出版物」だそうだ。 物語の中...
偏狭な土地に移住したら、妻が荒くれ男に蹂躙されるぞという教訓 わらの犬(1971年 サム・ペキンパー監督) サム・ペキンパーは「暴力の美学」と評されるバイオレンス派監督。彼が英国を舞台に撮ったのが本作だ。筆者は本作がペキンパーの最高傑作だと思う。公開時、スーザン・ジョージはメディアの取材で、なぜ本作に起用されたのかと質...
憲兵隊の拷問はなかったのか? 話題作にまつわる筆者の疑問 スパイの妻(2020年 黒沢清監督) 筆者は頭が悪いので、黒沢清監督の作品はどれを見てもなんだかよく分からない。だけど本作は比較的理解しやすい。そのおかげか、第77回ベネチア国際映画祭コンペティション部門銀獅子賞(最優秀監督賞)を受賞した。こうした歴史の闇に切り...
佳作・駄作1日1本